ロシアのウクライナ侵略問題

 ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから間もなく半年になる。
この問題への国際間の対処を見ていると、かつての我が国の中国への軍事侵攻と重なってくる。かつて欧米諸国は我が国に対しABCD包囲網を敷いて経済制裁をし、中国へ武器援助をし、直接交戦を避けながら「代理戦争」をした。これは今回のロシアへの対抗策とかなり似た構造だと言える。
この結果は日本が危機を脱するための対米戦争につながり、悲惨な結末になったことは周知のとおりだ。
今回の欧米に日本などが加わった対ロ対抗策はどうなるだろうか。これが成功し、ロシアが矛を収めることは考えられない。ロシアは石油などの資源が豊富で、日本のような資源の面での危機は縁がない。ロシアからの輸入を控えた国の代わりの輸出先さえ確保できるようだ。食料自給率は全般に高く、禁輸されても同様に他の国から輸入することができそうだ。
一方でドイツやポーランド、北欧諸国ではロシアからの天然ガスに依存していたため、ロシアがこれを止めると危機的になりそうだ。
このような状況では、経済制裁は効果がないどころか、逆効果になり、世界的な原油高、物価高さえ起きている。
また、武器援助は効果があるかもしれないが、武器を供与するだけでは、上記の代理戦争のようなもので、両軍の戦死傷者を増やすことにしかならない。ロシアは軍事大国なので、むしろウクライナのほうが甚大な被害を受けることになる。ウクライナ(ゼレンスキー大統領)の求めに応じることがウクライナの国民のためになるとは言えないのだ。(日本が「防衛装備移転三原則」に反するとして武器だけは供与していないようで、このことは結果的には正しいが、それを他国に呼び掛ける気が全くないのは、常々感じる主体性のなさのためで情けないかぎりだ。)
いまはそんなことはやめ、当事国以外のすべての国が現実的な停戦を検討し、働きかけるべき時なのに、アメリカを先頭にロシアを非難することに終始している。ロシアの侵略は当然非難されるべきことだが、非難するだけでは解決はおろか、悲惨な結果になることは明らかだ。国連はほとんど機能せず、そのような声がどこからも聞こえてこない現状に危機を感じる。