1月26日のテレビ朝日の報道ステーションで、共産党の田村委員長に、問題となっている昨年11月の「存立危機事態」発言の撤回を求められた際、(台湾で)「大変なことが起きた時」、つまりいわゆる「台湾有事」をぼかしながら、「私たちは台湾にいらっしゃる日本人やアメリカ人を救いに行かなきゃならないわけです。そこで共同行動をとる場合もあるわけです。そこで共同行動を取っているアメリカ軍が攻撃を受けた時に、日本が何もせず逃げ帰ると日米同盟が潰れますから、あくまで法律の範囲で、現在の法律の範囲内で、そこで起きている事象を総合的に判断しながら対応するということです。」と答えた。
台湾に中国が軍事侵攻した場合、日本政府が日本人救出をしようとすることは当然だ。余裕があればその際、アメリカ人に限らず、他の国民も救出するべきだろう。共同行動をとることも必要かもしれない。しかし、高市首相はここで、この救出の際、自衛隊がその任務に当たることを当然のように言っていることになる。それは、「共同行動をとっている」のは「アメリカ軍」だからだ。
救出をするのは自衛隊でなくてもよく、過去にそのような事態になったときには民間航空機を派遣することが通例であった。だから高市首相は国民救出を理由にしながら、「逃げ」ないで、「対応する」ということは、軍事介入を示唆していることになる。
こんな発言が伝われば中国政府が怒るのは当然で、案の定、これに対し中国外務省は翌日、当然、非難声明を出した。日中関係の修復はさらに遠くなった。
なぜ、高市首相はこんな発言をするのだろう。まさか、中国と事を構えることを望んでいるわけではないだろう。米国に次ぐような軍事力を保持し、核兵器を保持する中国と戦えば日本は壊滅的な敗北を免れない。安全保障条約を結んでいる米国と同盟関係があり、そんな恐れはないと思っているから、虎の威を借りる狐よろしく、勇ましそうなポーズをとるのだろう。トランプ大統領にこの件でたしなめられたことは漫画的だった。80年前にGHQのマッカーサーが「日本人は12歳以下」と言ったが、米国人の大半が幼稚園以下であることが明らかになった現在、トランプと高市の言動は幼稚園の学芸会でしかない。強がることにとらわれている高市首相の振る舞いの見苦しさは、ピエロを演じていると思わなければ耐えられない。
そんな茶番劇の相手で、自民党政府が同盟関係にあると思っている米国は、打算的な国であることを直視することが必要だ。これはトランプ大統領でなくても同じだろう。中国が覇権を争うライバルだとして敵視しながら、中国は米国がこれまで軍事侵攻等をしたような小国ではないので、米国は軍事衝突を避けたいはずである。たとえ、中国がこれまで援助してきた台湾を併合しようとしても、黙認するほうが損失が少ないと判断するだろう。特にトランプ大統領は南北アメリカ大陸などの西半球の支配を優先し、ロシアや中国以外の地域は、「同盟」国に米国に利があるように支配させたいという意図が鮮明にしている。背景には米国は第2次大戦後、着実に衰退しつつあり、世界中を統制できなくなってきていることがある。「MAGA」はその危機感から生じたスローガンだ。
この流れで、トランプ大統領は、日米安全保障条約を米国の役割が重い不公平な条約だと、盛んに日本政府を責めている。その不平を理由に、たとえ中国と日本が軍事衝突しても、台湾と同様に黙認する可能性のほうが現実的だろう。米国は、信頼関係などを守ろうとする国ではないということをこの際はっきり認識するべきだ。
「日米同盟」というものは、ほとんど日本人の片思いで信じられている幻想にすぎないのでは?ということを考えるべきなのだ。そして、世界で一番危険な国であることが明らかになった米国の軍事基地が日本中に置かれていることが招くかもしれない「存立危機事態」についても考えるべきだ。そんな危機を顧みない政党に政権を持たせていることの愚かさから、もう脱するべき時なのだ。