11月26日の信濃毎日新聞の「今日の視覚」で内田樹は「台湾有事は戦争か内戦か」と題して、台湾有事は少なからぬ米国人にとっては南北戦争のような内戦であると述べている。
しかし、高市首相は台湾有事が中国との戦争であるかのように捉え、それに日本が巻き込まれる事態になるかのような発言をした。これに中国が怒るのは当然ではないか。様々な中国の報復措置の是非はともかく、日中共同声明で台湾を中国の領土だと認めながら、台湾を武力統一することが内戦ではないとし、日本が無関係どころかそれ自体が日本の危機だというのは二枚舌である。
なぜ高市首相はこんな発言をしたのだろうか。それは中国の勢力が自国を凌駕しつつある状況に危機意識を高めた米国は、単独で中国に軍事的に対抗するのが困難になってきたので、日本にそれを補完させるためにかねてからずっと、上記ように認識するようにさせてきたからだ。それに従うこと自体情けないことだが、それでもそれは表立って言ってはならないことだったのだ。強いふりをすることにばかり気を取られている愚かな人間が日本政府を代表するようになったこと自体が「存立危機事態」ではないだろうか。少なからぬ米国人が台湾有事を内戦のように捉えているにもかかわらず、米国のこのように卑劣な策略をする国である。そもそも、台湾が第2次大戦後80年も統一されないのは米国が手厚い援助をしているからだ。
そもそも、戦前から、中国に利権を持とうとした米国が、蒋介石の国民党を援助し、日本に抵抗させてきたが、日本の敗戦後、国民党軍が共産党軍に敗れ、台湾に敗走して樹立したのが台湾政府であり、米国はソ連との冷戦のためにこの状態を維持しようとしてきた。冷戦終結後はこの必要性がなくなったが、中国対策として、台湾が米国にとって有益な存在であることに変わりはない。だから米国は日本を利用してこの状況を維持しようしている。自民党政府が進めた集団的自衛権の容認、安保法制改定、軍事費割合の増などはそれを唯々諾々と受け入れた政策だ。
このように自国中心的な米国は、台湾有事になってもおそらく手を出さないだろう。台湾はかなり抵抗するだろうが中国は勝利するだろう。
万が一、米国が軍事的に干渉する事態になったときのことを考えると、確かに日本に存立危機事態になる可能性はある。なぜなら、米国の攻撃拠点は沖縄をはじめとする軍事基地であり、中国はそれらの基地を真っ先に攻撃するはずだからだ。
米国が手を出さないのに、米国にそそのかされた日本が台湾有事に巻き込まれる事態になることが最悪のケースだ。そうなっても、米国は日米安保条約を守ろうとせず、日本を救おうとはしないだろう。
台湾の人々には気の毒だが、日本に台湾独立を守る大義はない。そそのかされて台湾有事にかかわってしまうことが「存立危機事態」を招くのだ。米国の自国中心主義的策略を見抜き、米国依存から脱することが日本の安全を確保する現実的な道に他ならない。